院長ブログ
道徳通りよしかつ歯科開院への想い
「伝統を大切にしながら、新しいことを取り入れる町、道徳」
この地で昭和33年に祖父の良雄が「江口歯科」を開院、父の雄二が引き継ぎ64年、今回私、善雄(よしかつ)が3代目として志を引き継ぐことになりました。
そもそも、江口善雄はどんな人なのか、どんな経験からどんな事を大事にしているのかをお話しできたらなと思います。
時は遡り、大学卒業後すぐに陶器で有名な瀬戸市の公立陶生病院にて2年間口腔外科研修をしました。
念願の一人暮らし、実家では末っ子長男姉3人、姉弟4人に対して部屋は2つしかなかったのでより嬉しく、寮生活だったので医科の同期の部屋にふらっと呑みに行ったりと、多くの医科の仲間にも囲まれてプライベートは充実していました。
そんな中、今でも鮮明に覚えている患者さんがいます。
研修1年目の夏、60代の男性が舌癌で入院してきました。
最初は元気で笑顔が素敵な方で、研修医1年目で何も分からないような私に色々と話かけてくれたし、点滴をとるのを失敗しても怒らず許してくれました。
一度退院されましたが再発してしまい再入院、抗がん剤治療が始まり徐々に元気もなくなっていき、看護士さんにもいつも笑顔だった男性が看護士さんに強い口調で怒ったり、私が回診に行っても入室拒否されてしまったりと、、そんな時に上手に患者さんに寄り添ってあげられない自分になんともいえない感情を抱いたのを覚えています。
それでも回復して退院される時には、笑顔で「ありがとう」と言ってくれたし、外来に来た時には目が合うと話かけてくれました。
私にとって、この瞬間はすごく嬉しかったし自分はただ病棟回診の際、その方の話を聞いていただけですが、人と親身に接することで相手は理解してくれるんだなと肌で感じた初めての経験でした。
もう一人、60代の女性が入院してきた際は回診にいくたびにベットの横に椅子を置いて座り、たわいもない話をしました。
時には1時間以上も話すこともあったかな?
とても楽しかったし、寂しそうなので話し相手になってあげたいという気持ちも強かったのかなと思います。話せば話すほど、心を許してくれたのか色々な事を話してくれるようになりました。
3年目になり一般開業医にいくと、治療が流れ作業になっていき、患者さんに挨拶はするけど患者さんの顔、名前も覚えられずに、見るのはカルテと口腔内のみという治療をしていました。
恥ずかしながら、そんな月日が流れ4年目後半、勉強会で学んだ方法で総入れ歯のおじいちゃんの調整をおこない、フードテスト(実際に診察室で煎餅、りんご、ピーナッツなどを食べてもらうこと)をおこなうと食べれるようになり、「江口先生はこんなじじいに付き合ってくれて、よぉやってくれたわ、ありがたいわ」と言ってもらった時に、研修医の時に感じた感情を思い出しました。
そして、父の雄二が旧江口歯科を閉院した夜、父と待合室に座り「今日まで一番心掛けてきたことは何?」と聞くと「患者さんの話をとにかく聞いてあげること」だと聞いてハッとしたのを覚えています。
これらの経験から、
とにかく「対話」をすることで患者さんの”なりたい”を敏感にキャッチしてあげて、現実とのギャップがあるのならば埋めるサポートに全力を尽くしてあげる。
それこそが患者さんの将来への「安心」を叶えるんだなと学びました。
そしてそんな経験の中から、
当院の2階に「コミュニュティー図書館」を作りました。
患者さん専用で「生活の質を高める本」の貸し出しをおこないます。
患者さんによるおススメの本の寄贈も募り、寄贈された本の貸し出しもおこなうことで、本を通してうまれるコミュニティー、患者さん同士の横の繋がり、子供を含む縦の繋がりも作っていくのが目的です。
なぜこのような場所を作ろとしたのか?
「社会的フレイル」という言葉を知ったのが最初のきっかけです。
社会的フレイルとは、家族や友人・知人との交流の機会が減少するなど社会的に虚弱な状態のことを指します。
どれだけ、社会と交流しているか?ということです。 “社会とのつながり”は要介護の重要なリスク要因の一つですが、目に見えないため気づきにくいとされています。 これからの社会は、1対1で診る、診てもらうではなく、「共同性」「コミュニティー作り」が大事だと思い、患者さん同士がグループを作って自分たちで助けていく環境を作りたいという想いでコミュニティー図書館を作りました。
自然と親しみのある笑顔がうまれる、地域の集いの場となるような歯科医院を皆さんと一緒に作っていくことが3代目の使命だと思っております。
どうぞ、宜しくお願い致します!
7/3(月)開院します!
完成まで後少しです。