入れ歯
「かめる」入れ歯
入れ歯はかめないものだと思い込んでませんか?
歯科医師になって1年目の時、当時市民病院の口腔外科に在籍していた私は退院目前の患者さんの義歯作製を任されました。見よう見真似で作製して作った義歯をセット後「何でも食べれますか?」と聞くと、「はい。食べれます」を言って下さりその時は安堵したのですが、よくよく看護師さんに聞いてみると、かめていませんでした。
患者さんは「入れ歯」のせいにせず食事形態を工夫することで食べてくれていたのです。この経験から「かめていない」ことに気づくためには、フードテスト(実際に診療室で食べ物を食べてもらう)が必要であり、そこで「かめる」ようになることに気づいてもらうことを行うようになりました。
当院では「かめる」入れ歯にすることを第一に考えています。
入れ歯の種類
歯を失った部分だけに装着する「部分入れ歯」と、全ての歯を失った場合に装着する「総入れ歯」とがあります。
部分入れ歯で一般的なのは「クラスプ」という金属を残っている歯に引っ掛けて装着する方法です。ただし、クラスプをかけた天然歯にはどうしても負担がかかるため、クラスプ周囲に虫歯や歯周病が発生しやすくなります。さらにブリッジほどしっかり固定できるわけではないので、噛む力もブリッジに比べ劣ります。
総入れ歯は歯が一本も残ってないところに装着します。総入れ歯は、歯に相当する「人工歯」と歯肉や粘膜に相当する「義歯床」とで構成され「義歯床」が吸盤のように吸い付くことで口の中に固定されます。
メリット
歯の欠損数にかかわらず、ほとんどの症例で適応となる
健康保険が使える
取り外して洗うことができるので、清潔を保てる
デメリット
部分入れ歯の場合、クラスプをかけている歯に負担がかかる
部分入れ歯の場合、取り付ける場所によっては金属のバネ(クラスプ)が外から見えてしまう
総入れ歯の場合、サイズが大きい分だけ、違和感や異物感が生じやすい
総入れ歯の場合、歯茎や粘膜を覆うという構造上の特徴から食べ物の味や温度を感じにくくなる
治療方法
①口腔内診査および設計
残存歯の状態、歯を失ってしまった部分の粘膜の状態を診査し金属のバネ(クラスプ)や床の大きさ、輪郭などの設計をします。
②個人トレーの製作の為の印象採得
トレーとは、お口の中の型取り(印象採得)に使用する入れ物のことで、通常は既製の物を使うことが多いですが、個人トレーとはその患者さんにしか合わない、つまり使用できない物で、患者さんの口腔内の模型を作った上で製作します。
※既製トレーで十分に義歯を製作するための印象採得ができる場合はこの工程は行いません。
③義歯を製作するための型取り(印象採得)
既製トレーまたは個人トレーを用いて口腔内の印象採得を上下行います。
④咬み合わせを取る(咬合採得)
上下の咬み合わせの関係を模型上に再現するための咬み合わせを取ります。
⑤試適
試適とはこれまでの工程で作られた模型上で実際に使用する人工歯を並べて前歯の歯並びを作ったものを口腔内に入れてみて、顔貌や口唇の状態などいわゆる見た目に問題がないかを主にチェックするものです。前歯の欠損が無い場合などは行いません。
⑥完成・装着
完成した義歯を装着します。痛い部分など不具合のある箇所を調整し、義歯の取り扱い方法について説明します。
⑦調整
義歯使用開始後、不具合がある場合に再度調整を行います。
料金について
金属床 | 440,000円 |
治療回数 | 2〜6回 |
治療期間 | 1〜3ケ月 |
ノンクラス デンチャー | 88,000円~ ※欠損数により費用は異なります |